my name
今日も赤木君は10時に帰って来た。
あたしは意を決して隣の部屋のドアをノックする。
コンコン
「はい」
久しぶりに赤木君の声を聞いたかも。
「入ってもいい…ですか?」
少しするとドアが開いて赤木君が出てきた。
「何。」
眉間にシワを寄せて、面倒くさそうな顔であたしを見下ろす。
一瞬泣きそうになった。
「あ、あのね。ママが夕飯には帰ってきてって言ってた」
「それだけ?」
「えっと…。こんな時間まで毎日何やってるの?」
「お前には関係ねぇ」
そ、そうかもしれないけど…。
「それだけなら閉めるぞ」
「あっ、待って」
「なに」
謝らなきゃ。
ちゃんと赤木君に話さなきゃ。
「あの時はごめんなさい」
「何が…。」
「突き飛ばしちゃったから…」
「なんでお前が謝るんだよ」
「あたし、赤木君に話さなきゃいけないことがある」
赤木君はあたしに背中を向けて部屋に入っていった。
やっぱり怒ってる…。
「…入れよ」