my name

そこまで話すと赤木君がやっと口を開いた。


「俺が嫌で突き飛ばしたんだろ？」

「ううん。あの時はどうやって呼ばれても嫌で…。」


「トラウマ…」

「うん」


「そっか」


そう言うとまた黙った。

振り向いて赤木君の顔をちらっと見ると何か考えているようだった。



「山下は男でも平気だろ？」

なんで今准一のことが出てくるんだろう。

「付き合い長いからね。でも好きではないよ！」

「目で追ってたのに？」

「赤木君にそう言われた日から見ないようにしてる」

美衣に誤解されても困るから見ないように気をつけてるんだ。



「好きじゃないなら俺の言うこと聞かなくてもよくね？」

「好きだったってのもバレたくないもん」


「ふーん」



分かってくれたのかな。

ちゃんと伝わったかな。


「明日からちゃんと帰って来てくれる？」




「分かった」