my name
転勤 side R
真剣な顔をした両親が目の前にいる。
リビングのテーブルをはさみ、2人並んで俺と弟の蒼太(ソウタ)の顔を交互に見る。
「なんなの?」
俺が長い沈黙にしびれを切らし、そう聞くと父さんが重たい口を開いた。
「父さんアメリカに転勤することになった」
「はあ!?」
「3ヶ月だけなんだけどな」
なんだ。ちょっとだけじゃん。
「お母さんお父さんについて行こうと思うの。お父さん一人じゃ何にもできないから心配だし」
隣で父さんが苦笑いをしている。
「父さんは一人で行くつもりだったんだけどな」
「だから亮くんと蒼ちゃんも一緒に行くでしょ?」
「は!?」
いきなりアメリカなんて聞かされて、行くなんて言えるか!
「行かねぇよ。な蒼太」
「うーん」
「え、ダメよ」
「何で!」
「心配じゃない!」
母さんは心配性過ぎるんだよ。
3ヶ月くらい大丈夫だし。
「3ヶ月だけだろ?平気だし」
言葉の通じねぇアメリカで暮らすより、両親のいない日本で暮らすほうが全然いい。