MAGICSTORY

戦い

「美香、美香」



耳の奥で誰かが呼んでいる。女性の声だ。



「美香」




お母さん____?




「いつまでそこにいるの?早く戻ってきなさい」




目を開けるとそこには懐かしいお母さんがいた。まだこっちに来て一週間くらいしか経っていないのに何年も会っていなかったような感覚だ。




「ほら」



目の前に差しのべられた白い細い手。手をつなげ、ということなのだろうか。



何の迷いもなく手を重ねた____





重ねたはず___手と手が触れる直前、「ダメだ」頭に直接響く声がした



反射的に手を戻す



「? 美香?   ほら、行くわよ」
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