春夏秋冬
「休憩時間になるといつもこれだよ」
思わず呆れる加絵は、眉間にシワを寄せて悩んでいる。
早く食べなきゃ休憩時間が終わっちゃうのに…
そんな事を思っている時だった。あたしの歯車が回りだしたのは…
「ここ、どうぞ?」
あたし達が突っ立っている一番近い席の人に、声をかけられた。
その人はキリッとしたスーツに身を包んでいて、渋い柄したネクタイを締めている。
どう見ても若い男の人だった。
「いや、いいですよ。まだ食べ終わってないじゃないですか」
テーブルの上を見ると食べかけの定食が置かれてある。
けど彼は愛想の良い笑みを見せて席を譲ってくれる。
お言葉に甘えたいけど…でも…
加絵はお腹を空かせて食べかけの定食をずっと見つめていた。
「…ありがとうございます」