春夏秋冬
「はぁ…」
初めて聞いた上原くんの大きなため息。
毎日笑顔が尽きる事のない上原くんが疲れているなんて初めて見た。
さすがに休みもあまりないからね。
黙って弁当を食べていると、誰も見ていない時の上原くんに興味が湧く。
裏があるのかなぁ。とかそんな風に想像していると、声が聞こえてきた。
「あぁ、まじ疲れる…いい加減あの高い声を何とかならないのかよ」
誰に向かって喋っているわけでもない。
ただ独り言なのに…リアルに耳に入ってくる"愚痴"。
「そろそろ席替えてもらわねーと本当耳潰れる」
きっと高い声と言うのはエリさんとみゆきさんだろうか。
誰にしても愚痴を吐く上原くんが予想よりも遥かに裏がある事に驚いた。
ついにはネクタイを緩めて近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばした。
…怖い。