あたしのお兄ちゃん*完*
「こほんっ、じゃあ紹介するわね。」
わざとらしく咳をして、母さんが意気揚々と紹介しはじめる。
「こちら、恭介さん。」
「いやぁ〜、いきなりでごめんね。恭介です。今日からよろしく。」
活発そうな人。
明るいところに母さんは惹かれたのだろうか?
「こちら恭介さんの娘で紗柚ちゃん。」
「よろしく、お願いします…。」
緊張しているのか、体が固まっている。
「篤も挨拶して。」
母さんにせかされて、中途半端な挨拶をしたあと、母さんたちは盛り上がっていたが、俺は一言も喋らないままカレーライスを食べおえた。