あたしのお兄ちゃん*完*
「あのっ…、数学の課題でわかんないとこあって、教えて、もらえませんか。」
スウェット姿の紗柚が少し髪の毛を湿らせて立っていた。
やっぱり緊張しているのか、体が固まっていた。
「いいけど…。」
「ありがとうございます!。」
少しほっとしたのだろうか?
今日初めて笑顔を見た。
…かわいい。
はっとして俺は何を考えてるんだ、と首を横に振った。
「じゃあ、そこ使って。」
と小さめの丸いテーブルを指させば、紗柚はテーブルの前にちょん、と座った。