kasiraな私
「三枝~~~!!どうなってるの?お父さん?運ばれたのお父さんなの??」


三枝のスーツの袖を掴んで揺さぶった。


「お嬢・・・落ち着いて下さい!」


あたしの肩を優しく撫でる三枝。


三枝充(サエグサ ミツル)


後藤組の若頭。


あたしは亜由の部屋を出て急いで家に帰った。


古き日本家屋の様なあたしの家。


表札はデカデカと『後藤組』と書かれていて、あたしはこの表札が掛かってる門を潜るのが憂鬱で仕方なかった。


「家にお父さん居ない・・・ひっく。組員も居ない・・・ひっく。三枝しか居ないよ~~」


「お嬢・・・頭は・・・急ぎましょう!」


何かを言いかけて、私の手を引いて車まで走る三枝。


「にゃにぃ~~」


三枝の走りに間に合わず千鳥足で引っ張られるあたし。


組の車に乗せられてあたしは手を合わせてお父さんの無事を祈った。


「あたしを・・・1人にしないで!」


きょうだいが居ないあたしはお父さんだけが唯一の家族。


お父さんが居なくなったら天涯孤独の身。


組長のお父さんは嫌いだけど、あたしの傍に居る時のお父さんは大好き。


組員の前では声を張って大声出して、殴ったり・・・怖いお父さんだけど。


あたしと居るお父さんは凄く優しくて、面白くて・・・そのギャップが凄いんだけど。


大嫌いだけど大好きなお父さん。


あたしを1人にしたら嫌だよ!!








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