kasiraな私
「もう!!知らないんだからぁ~!!」


何個も投げてるうちに、折角焼いたたこ焼きは鉄板から姿を消していた。


「・・・ちっ!無くなったよぉ」


「お嬢?これは・・・どうなさいました?」


三枝が不安げな面持ちであたしに話しかけてきた。


「・・・お父さんが悪いんだからね!」


ふんっ!と鼻で息をして三枝を見た。


「しかし・・・この地面のたこ焼きはいかがなさいます?」


「あ・・・」


少々冷静になり下を見るとあたしが投げたたこ焼きが散乱していた。


「これじゃ、食えねぇ~な」


ぶつくさいいながら袋に落ちたたこ焼きを拾うお父さん。


ちょっと申し訳ないと思って、あたしもしゃがんでたこ焼きを拾った。


折角楽しかった屋台デビューも、こんなお父さんのせいですべて台無しになった。
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