kasiraな私

☆保sid

「後藤さん!2638㌘の可愛い女の子ですよ!!」


「赤子より美穂は?アイツは大丈夫ですか??」


俺は後藤保(ゴトウ タモツ)。


惚れた女、美穂が俺の子供を出産した。


美穂は体が弱くて、医者からは出産すら困難だって宣告されてた。


子供の命と引き換えに自分の命を失うかもしれないと・・・


正直俺は子供が嫌いだ。


今回の美穂の出産だって反対だったんだ。


「私はアナタの子を産みたい。アナタと私の遺伝子をこの世に残したい」


涙ながら俺に訴える美穂に負けて出産を許した。


「村上さんは・・・今はICUに居ます。危険な状態なので・・・覚悟なさってください」


医者ってのは残酷だよ。


俺に赤子を抱かせてそんな事をサラッと言うんだぜ。


猿みたいに顔がシワシワで真っ赤で・・・俺にも、美穂にも似てるか今は分からねぇ赤子を抱いて俺はコイツの存在を恨んだ。


俺1人でどうやって赤子を育てろってんだ!


それでなくても俺は『後藤組』の組長に成り上がったばっかりだ。


極道が赤子を背負ってシノギしろってのか?


先の事をまったく考えてなかった俺は先の人生に絶望を感じた。


まだ目が見えない赤子をきつく睨んで。




< 6 / 81 >

この作品をシェア

pagetop