kasiraな私
俺は組長に挨拶をするのさえ忘れてその女の事を目で追ってた。


「龍?龍!!」


「あ?」


「お前・・・挨拶もしないで何ボーっとしてんだ?」


「・・・わりぃ」


「ったく。そんなんで俺の下に就けるのかよ?」


兄貴に悪態を突かれても、怒れなかった。


「あのさ・・・あの女って何?」


「あの女?・・・お嬢の事か?頭の1人娘の藍さん。今・・・15歳かな?」


「15???うそだろ?」


とてもじゃないけど・・・15には見えん!


「・・・龍?まさか・・・」


「は?」


「お嬢を狙ってるわけじゃないよな?」


「ふざけんなよ!あんなガキ!」


俺が女にダラシナイって思ってて、それであの女を心配して言ってるだろーが、さすがにこの俺でも手を出したくないね。


あんなガキ。


って・・・思ってたんだ初めは。


どこでそれが狂ったのかは分からないが、気付けば俺はこの女が気になってしょうがなくなってた。


たまに事務所に顔を出せば、


「お父さん」


って言って組長の尻を付いて回ってるしよ・・・


そして俺の事なんか覚えてねぇーし。


組長が死んだ時病院で顔を合わせても、俺の事初めて見ました!って顔してたしな。


さて・・・俺を本気にさせたこの女、後藤藍。


これからどうしてくれよう・・・。
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