kasiraな私
「保は、母親である私を越えて良い父親になるわ。そして藍は保を越えて良い子供になる」


美穂が最後に俺に言った言葉だ。


藍を出産して美穂は2日後にこの世を去った。


それからの俺の人生はとんでもなかった。


子供の面倒、組の長としての任務・・・


子供が嫌いな俺は組員の嫁に藍の面倒を見させてた。


それも藍が3歳になるまでだ。


成長するにつれ藍は美穂に似てきた。


そのお陰で俺は藍を愛する事が出来たのかもしれない。


幼稚園の頃の藍はしょっちゅう泣いて帰って来てた。


「どうしてあたしにはお母さんがいないの?」


「どうしてお父さんはやくざなの?」


毎日、藍のどうして攻撃。


それも小学校入るまでだったが・・・


藍にとって良い父親で居られるように、いつでも傍にいてやり、好きな所に連れて行ったりと普通の親子になっていた。


小さい頃は俺を怖がってなつかなかった藍も俺になつき、逆に小姑の様に俺に小言を言う様になってきてた。


「まだ寝てるの?今日は亜由とクリスマスパーティだから帰らないからね?」


「おぅ・・・。お父さんとは明日やるんだろ?」


布団に潜ったままの俺を急かすように起こして、部屋のカーテンを開ける藍。


窓から零れる日差しが娘に当たり、ますます美穂に似てきた藍。


「さぁ?もしかしたら彼氏と一緒かも!」


「なにぃ~~~???」


娘の『彼氏』発言に俺はビックリして布団から這い出た。









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