ミッドナイト・ブルー

と、言うと車を降り自動販売樹に、二人で向かった。
暗く広い駐車場を歩いていると愛美が俺に、駆け寄り俺の腕を掴んで歩き出した。
「なんだよ！怖いのかこんなに明るいのに、」
「違うよ、寒いのでも怖いのでも無いよ」
「じゃあ、何でさては俺に惚れたのか！あんちゃんって運転が上手だし喧嘩は強いし、顔は良いし、優しいし、私にピッタリの人だわなんて考えているんじゃないの」
「あんちゃんて、以外と阿保ですか」
「そう言われると、少し何て答えるはず無いでしょう。それより、俺に惚れちゃいけないよ。」
「何言ってるの、あんちゃんがばかになっちゃった。どうしよう壊れてる」と、言って笑い出した。
「なんだ、違うのかスッカリ騙されるところだった」というと、
「コラコラ、自分で妄想大きくしただけでしょう私は、何もしてないわよ」と、笑いながら言う。
そうこうしているうちに、自販機に着いた。
飲みたい飲み物を買い綺麗な景色の見える場所に行くとそこで飲み物を開け口に運ぶと、暫く黙ったまま景色を見詰めていると愛美が、小さな声で、
「凄い、こんなに夜景が綺麗だなんて知らなかった」と、大きな瞳をキラキラとさせながら見ている。
光の瞬きの、ひとつひとつを、この場所から見ていると、全てが温かく幸せに充ち溢れているのだろうなと、思えた。
自分だけ取り残されて、いつも寒い北風の中に放り出されて震えていた時に見た温かくて、楽しそうな窓の明かりと重なっていた。
愛美の、過去を俺は聞いていた。
俺には心を許してくれたからだと思う。
愛美の、肩が小さく見えた。
『なんだかんだ言っても、まだ若い娘なのにいっぱい色んな思いを、背負い込み爪先立ちしながら階段を登っている。俺は見ているしか出来ないから』愛美が小さく
「寒い」と、つぶやく俺は背中から包むように、抱きしめ彼女の頬に俺の頬を押し当てた。
暫くそうして眺めながら「知っているかい、もっと寒くなるともっと綺麗に成るんだぜこの夜景」
「その時又見に来たいな、あんちゃんと」
愛美は、そう言いながら身体を俺にもたれ掛かけていた。
俺は心の中で、
『いつまでこんな事、続けていられるんだ』と聞いていた。
「愛美風邪をひくといけないから、戻ろう」と、優しく耳元で言うと頷いた。