ミッドナイト・ブルー
「あんちゃんって本当に優し過ぎだよ」
「どうせ、毒をくらわば皿までだ その代わり携帯が見つかった時の言い訳考えておいてくれ、俺に借りているデモなんでも良いや、チクショウ何でだ、何で嫌いになれ無いで、そのうえにお人よしばかりで、何やってんだ」と、半分独り言を言っていた。
愛美はブランケットを掛けて寝ているのか目をつぶっていた。
それから、1時間後公営の駐車場に乗り入れ端の暗がり止めた。シートベルトをはずし一度車の外に出た。
「さむいな〜チクショウ、コーヒーでも買ってこようかな」と、歩き出すと後ろでドアが閉まる音がした。
振り向くと、愛美が立っていた。
「なんだ、寝てたんじゃないのか寒いぞ」と、愛美の方に戻ると通過ぎると、車のトランクを開けると、中からMAⅠのジャンバーを取り出し愛美の所に戻ると肩に掛けてやると、
「一緒に行くか」と聞くと小さく頷き俺の腕に、絡み付いて来た。
愛美は、ダブダブのジャンバーを着て何だか楽しくしているのを見てこの子が俺の事必要だと思っていてくれるなら、もう悩むのは止めようと思った。
自販機で、コーヒーを買う積もりだったが横に、酒等を売っているのを見ると、愛美に
「ビール、それとも何か他の物にする。」と、聞くと、
「ビール飲むと、トイレが近く成っちゃうから、それに、あんちゃん飲んじゃダメでしょ。」
「確かに、飲酒はまずいな我慢するか」
と、言いコーヒーとミネラルウォーターを、数本ずつ買い車に戻った。
暫くは、他愛の無い話しをして過ごしたがまだ夜明けは遠かったので、愛美に、
「寝てて良いよ起こしてあげるから」と、言うと 「余り、眠くは無いけど それよりあんちゃんそんなシートじゃ寝れないよね」と、俺の座るフルバケットシートを見ながら言う。
「このシートは、寛ぐために作ってないから仕方ないさ、それでも眠いときはリヤーシートで寝るさ」
「そうなの、少し横に成るね」と言いながらブランケットをかけてモゾモゾしていたがデニムのジャケットを脱ぎ何かしていたが気に止めてなかった。音楽も聞き飽きラジオに切り替え窓を少し開け、ジタンをくわえてライターの火を付けた。煙草の煙りを胸一杯に吸い込むと、ゆっくりと吐き出した。
俺も、世間に居る大多数のしたり顔の大人達と同じ道を歩くのかな、世間に対するささやかな抵抗も、この冬で終わるのかな
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