ミッドナイト・ブルー
・・・・・・・・・・・」と、言うと先生は部屋を出て行った。
愛美は看護士に、
「どうしてなんですか、何であの人なんですか、
何でこんな病気なんですか、あんなに風を切って峠や、高速道路誰よりも速かったのに、人生迄こんなに速く走り抜けるなんて、私も一緒に連れていってくれないと、私を幸福にしてくれるって約束したのに未だしてもらってないもの」
「そうよね、未だこれからだよね、でもなんにもしてもらって無いかな、少し考えて、本当に一度も幸福感じなかった、山下さんの事だから貴方には、めちゃくちゃ優しいのじゃないかしら、違っていたらごめんなさい、私こんな仕事していると判るの貴方がさっきから流している、涙の量だけ優しさや幸福を貰ったんじゃないかな」
「でも悔しいよ、こんなに無条件で、愛をくれる人やっと見付けたのに、この人なら駆け引き無しに、今まで貰った愛を返せると、思っていたのに何にも返せないうちに」
と、それから暫く看護士と、話しながら少しずつ落ち着いて来た。

会議室で説明受けて、一度賢さんの家に向かっていた。
一人になると又涙が出て来た。
あの人の、声が聞きたい
あの人の温かい腕でキュッと抱きしめて欲しい。
家に着くともう、ボロボロになっていた。
愛美は、寝室に入るとベットに崩れるように倒れ込んだ。
賢さんのニオイがしたまるで抱かれているようだった。
もう、病院なんか行きたくない、あんな辛いところは、行きたくない、そう考えていた、何もする気になれなかった。
起き上がるのさえ辛くこのままで居たかったが気力を振り絞り隣の趣味の部屋を掃除でもしてあれば戻ったら喜ぶだろうなと考え部屋に入った。
電気を点け入ると、パソコンがある前に一度使い方を聞いたことがあったが忘れてしまい どうしよう頼まれていたメールのチェック出来ない。
その時、ふっと仲の良い友達の顔が浮かんだ。
携帯を出しかけた。
直ぐに相手が出た。
「はい、潤子です」の声が聞こえると、半分泣きながら、
「潤子、パソコン使える、使えるなら来て助けて、こんなのもう嫌だよ」
「愛美どうしたの、落ち着いて、パソコンなら普通位に使えるよ今どこ」
「今あんちゃんの家早く来て」
「判ったわ多分5分かからないよ、前に聞いたからわかると思う」と、いって切れた。
そのまま、ほうけた様に、
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