ミッドナイト・ブルー
「なんだか凄い事になってない」と、潤子が言うと、奥さんが、
「この部屋で何か言うと手に入るなんて、部屋ごとドラえもんのポケット状態ですね」と、笑っていると愛美が、戻って来た。
皆に見られていると、感じたのか愛美は、部屋に入るなり、笑顔で、
「なに、どうしたの、なによ、そんなに皆で私の事見られたら、恥ずかしいでしょ」と、照れていた。その間に同じ部屋の一番歳の若い城木君が隣の部屋の談話室の冷蔵庫からケーキをだしロウソクに火を付け運んでくると、同時に俺が    「せ〜の、」の、掛け声で全員で、
「愛美ちゃん、誕生日おめでとう」と、一斉に言うと、一瞬ボーとしていたが、次の瞬間その大きな目からボロボロ涙を零した。
ベット用テーブルの上に置かれたケーキを見て、いつの間にと言いたそうに、見詰めていたが吹き消した。
その後、潤子がケーキを切り分け皆に渡して行った。ケーキを食べながら城木が
「山下さんの周りにはどうしてそんなに綺麗な人ばかり集まるんですか」
「そんな事聞かれても、判んないよ本人に聴いてくれ」と、言うと
「じゃあ、聞きますね、潤子さん俺と、お付き合いしてください。」と、言うから、一瞬の間の後皆が大笑いを、すると北村が、「こいつ、何舞い上がってんだ。しかも、初対面の人に対して、交際の申し込みしてやんのはははは」と、大ウケである。
「ちょっとあんた、私を馬鹿にしてるでしょう。そうで無ければ、あんた頭がおかしいんじゃない。」と、潤子が言うと皆大爆笑に、包まれた。
城木に、残っているケーキをナースセンターに運ばせた。
俺は、愛美を近くに呼んで、
「愛美、今日外泊届け出してあるから、今から出掛けよう予約入れてあるから」と言うと、愛美が、
「さっき、ナースセンターで、聞いたよでも、具合悪くなったら、直ぐに戻ってくる様にと念を押されたから」
「なんだばれてたのか、判っているよ、安心しろ」と、言うと店長の方を見ると
「店長、お願いです。キャンピング・カー貸してください。明日返しますので」
「構わないよ。使ってくれ、それより無理するなよ」と、言ってくれた。
「なんだよ、なんだか俺がかなり酷い病気みたいな言いかたして、俺は元気です。殺されても死なないよ、まだまだやりたい事がいっぱい有るんだから」と、言うと潤子が
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