ミッドナイト・ブルー
その倉庫の横にケンが、倒れていた。
見つけた愛美は、駆け出したが雪で、足が滑り転びそうになりながら、近ずいて行くと、やはりケンであった。
慌てて抱き上げたが、ケンは、動かなくまなみは狂ったように、名前を呼び続けながら、ケンの胸をワイシャツのボタンが契れるのも構わず開いた胸に耳を当てると、大丈夫脈を打っていた。
呼吸も、していた。
しかし、意識が無い愛美は、
「ケン、どうしたのネェ、ケン、なにしているの冗談は辞めてよ。ネェ、ケンってば、目を醒ましてよ。ネエってば起きてよ」と、ケンの身体を揺すったり、叩いたり、撫でたり、摩ったりしていた。
雪は、本格的に降り出しケンの身体を、包み始めた。
愛美は泣いていたが、急に立ち上がり、クルマの方に引きずって行くが、身体の大きな男を引きずるのは、愛美の小さな身体では、難しく大変な事で何度も何度も転びながら、引きずって、半分位まで来た時、ケンが、
「イテェ」と、囁いた愛美は、
「ケン、大丈夫ケン判るネェ、ケン」
「イテェ、俺ころんじまったか、それにしても何だこの雪は、それに何でこんなに寒いんだ。」
と、言いながら起き上がろうとすると、
「立ち上がれるの、」
「阿呆か、未だ体力はある」ふらつくが何とか立った。
「これから帰るんだから、早くクルマに乗れ、それから病院に電話をして先生に帰るなと言っておけどうしても教えてもらいたいことがあるともな」と、言って歩こうとした、脚に力が入らず、また転んでしまった。
「もう、何やってんのしっかりしなさいよ」と、手を延ばして来たが、
自分の力で立ち上がった。
呼吸迄苦しくなって来たが意地でなんとかクルマ迄たどり着いた。
しかし、クルマに乗り込むことが出来ない足が上がらない体中の筋肉が、強張って息が上がっているし、何とかしたくてもがいたのが良くなかった。
脚を片方乗せた時身体の力が抜けて行った。
そのまま、後ろに倒れ込んでいった。
愛美は直ぐに、気付きクルマから飛び降りるようにケンに近ずくと抱き起こした。俺は愛美に、
「すまん脚に力が入らないんだ、それに体中に力が」と、言うと、愛美は「判ってる、危ないから取り敢えず乗ってベットに寝て」と、言って起こしてくれた。
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