ミッドナイト・ブルー
「ハーイ」と、言いながら店長の奥さんがドアを開けてくれ、
「ケン、来たね、上がって待ってたよ」と、招き入れてくれた。
リビングに通され、俺の横に愛美が座りその向こうに潤子が並んで、ソファーに座ると奥さんが、
「家の人未だ帰って来て無いの少し待っていて、それから今、お茶入れてくるから」と、言って立とうとしたので、
「奥さん、済みません急に大人数で押しかけて、今日退院の挨拶周りしていて、店長のところに寄ったら、奥さんのとこにも、顔出すように言われてきました」と、御礼の品を渡し続けて、
「済みません、みんなで飲もうと思い買ってきました」と、酒を出すと
「そんなに、気を使わなくて良いのに」と、言いながら箱を見ると
「きゃー、こんな高いお酒何本も、私こんな高価なお酒飲んだ事無いよ」
と、喜んでいた。
それから少しの間話し、お茶を入れると、シャンパンを冷やすためにキッチンに持って行き、直ぐにお茶を持ってきて、
「潤子さん、お手伝いしていただける」と、連れていった。
俺と愛美は、見るとは無しにテレビを見ながら時間を潰していたが手持ち無沙汰になり、
「愛美、キッチンに見物にでも行ってみるか」と、聞くと、
「なにもすることが無いから、行って見ようよ」とキッチンに向かった。
ドアを開けて、ダイニングルームに入ると、二人はキッチンに、いるのが見えた。
奥さんの背中が、小刻みに揺れていた、俺達が入って来た事に気が付いた潤子が、奥さんに
「嫌だ、奥さん玉葱切りながら泣かないでよ、まるで私が泣かしたみたいじゃないね、あんちゃん」と、俺に話し掛ける。
しかし、どう見ても焦っている、しかしここで黙っているのも変なので、
「アレェ、潤子、奥さんを虐めていたのか」と、聞くと奥さんが慌てて、
「今の時期の玉葱って、中国産のが多いから目にしみるのよ」
「俺達も、なにか手伝いしようか」と、言うと
「今特に無いのよ、それにキッチンが狭いからケンが、入って来たら動けなくなるからそれより、ビールでも飲んで待ってる、そうしなよ」と、奥さんが、気にして言うと潤子が、
「愛美、あんちゃんにそんなにべったりくっついてないで、ほら取りに来て、ねっ、言った通でしょう」と、言うと愛美が
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