ミッドナイト・ブルー
二杯作るとグラスを、渡すと一口飲み
「おまえ達、一緒にならないのか」
「うん、この旅で考えるよ」言っている所に奥さんが、戻って来て俺に、
「ケンも大変ね、でもね愛美ちゃんも頑張って頑張って頑張ってケンに、着いて行こうとしているの、あんなに若くて、線の細い子が貴方を、必死に支えようとしているの、それは、わかってあげて彼女が、今なにをして欲しいのか良く考えて、それから、貴方の周りにも、貴方達の力に成りたがっている人が沢山居るって事を、忘れないでその人達の気持ちを、無駄にしないで」と、言うので、俺は       「なにをさせたいのですか」と聞き直すと、  「覚悟を決めてチャンとした形を、取りなさい」と、言うと、店長が立ち上がり奥の部屋に行き暫くすると、愛美と一緒に店長が戻って来た。その手には、一枚の紙切れを持って来た。
「お前達にはお前達の、計画が有るだろうが、ケンが自分の周りに影響をどれだけ与えていたか、そして、周りの者に、どれだけ伝え続けていたのか、判ると思う、その時計画通りに行かなくなる。その第一段で、先ずは店長夫婦からの、余計なお世話攻撃と、言う事で、俺達の前で書いてくれ、と言うよりは、『書け』」と、言う、俺は、なにを書けと言うのかと思い紙を見ると、婚姻届けであった。
愛美にさきに渡す
「愛美、俺は出来る限りの力で、お前を愛していきます。だけど、その力もどこ迄続けられるかわらない、ここで良く考えてくれるかな、それで書かなくても、俺は、愛美を責める事は出来ないし、強引に付いて来いなんて言う事は出来ない。それだけしか言えない」と、言って婚姻届けを、愛美の前に滑らせた。
「ケン、私この間も話したけど、今、生きてるの未来を生きている訳じゃないの、それは少し不安だけど、まだ出会ってもいない事に不安を感じてどうするの、変に投げやりな気持ちになっている訳じゃなく、今一秒一秒をケンと、一緒に過ごしたいの、それもケンが、俺の側に居ろと言ってくれるなら、私は、いつまでもどこまでも付いていきます」と、いつの間にか、両方の目に涙を溜めておれを見詰めていた。
「そうか、愛美の気持ち本当に良く判ったよ。だけどそれだけじゃあ、愛美に俺の側に居てくれ何て言え無いよ」と、言葉を区切ると愛美が、
「どうして、何が足りないの」と、泣きながら聞いてくる。
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