ミッドナイト・ブルー

ツアー

その後、披露宴も終わりみんな、二次会の会場へと流れていった。
俺達は少しの間皆をもてなし40分で退散した。


それから一月後俺達のキャンピングカーは、福岡に入っていた。
結婚式の翌日の夕方出発してフェリーに乗り込み宮崎に着いてか日南海岸を見学して高千穂峡を見たりしながらゆっくりと南下して行き道の駅等を利用して、鹿児島、長崎、佐賀と回って来た。
その間、愛美は俺から離れることは無く、かいがいしく尽くしてくれた。
福岡に入り俺が中学二年まで生まれ育った街に愛美を連れて行った。
その街には、大きな川が流れ、その川には幾つかのセキが、設けられその岸には銀杏の木が植えてある。
クルマから、降り子供の頃遊んでいた銀杏の古木のたもとに歩み寄った。
「この木、凄い私初めて見たわ」
「そうだろう、でもこの街ではそんなに珍しい木じゃ無いんだ、銀杏の木は古くなるとこんな風に、オッパイが垂れるように成るんだ、俺達はガキの頃よく木登りしてたな。知っているか、銀杏の木は幹に螺旋状に枝が、生えているので登り易いんだよ」
「えっ、そうなんだ、私木登りなんかした事無いから」
「まっ、普通、木登りしてもそんなの気にしない限り判らないと、思うけど」
「そうなんだ」
「それで、俺木のテッペン迄登ってボーとしているのが大好きだったんだ」
「元気な子供だったんだね」
「そうでもなかったけど、眺めが良いから」
等と色んな思い出話しを暫くの間、話していた。
すっかり、遅くなって隣街のキャンプ場に着いた。
夕食の準備をしたり、ベットメークしたり、しながら時間を過ごしている春まだ浅いこの時期にキャンプ場は、貸し切りになることが多く、いつもの様に静かに夜が更けていくのかと思っていた。


夜が更けて、一台の車が入って来た。
「ケン、今頃入って来る人がいるようね」
「そうみたいだね」
「これから、テント建てるのかしら」
「多分、そうだろそんな事より食事にしよう」
「うん」と愛美が答えると、もちろん俺達は、クルマの横に特別装備のカーサイドテントを張って、その中にコールマンのガソリン式のツーバーナーや、テーブルやヒーターやランタンを出していつもの様にテーブルをはさみ食事を始めた。
暫くすると、テントを張っていた連中の中から、男女一人づつが、俺達のテントにやって来た。
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