ミッドナイト・ブルー
愛美は、潤子と二人で御墓の前に、立っていた。
「潤子、ケンのお葬式の時、ありがとうね。 あなたが居なかったら、何にも出来なかったわ。本当にありがとう」
「そんな事ないよ、実はねあんちゃんが、亡くなる前に私を呼んで、もし俺が死んだらこうしてくれと、ノートに書いた物を渡してくれてたのだから、その通にしただけよ」
「そうだったの、でも、何の滞りも無く出来たのも貴方のお陰よありがとう、ケンは、そんな事まで気を使っていたんだ、一緒に居たのに、そんなそぶりさえ見せなかったのも凄いけど」    「そうなの、あんちゃんは何時も誰かに気を使いながら生きていた気がする、そんな気使いしてたら疲れるよって言ってやりたかったな」    「そうだね、ケンって言い出すと、絶対にそっちの方向に引っ張って行ったのに、この子の事は私達が組むと割とアッサリ諦めたよね」     「流石に、私も引くつもりは、無かったものそんな気持ちの二人を、説得出来ないと思ったんでしょう」        「そうかな、私はあの時ケンはもう死期を悟っていたんじゃないかなと思えて仕方ないんだけど、判っていたんだよ多分」「そんな事無いよ、多分私達にはかなわないと、思ったのよ」     「そうかなぁ、そうでなかったら」      「もう、何が言いたいのあんな事、言わなかったらどう変わったかなんて誰にも、判らない事よ」「そうかも知れないけど、あの日から、よく考えるのよどうなっていたかなんて」       「そんな事考えるよりこれからの事考えて、とも
かくこれで、一段落付いたけど、この後も頑張らないと子供が生まれるんだから、泣いている暇なんて無いわよ」
「それに未だ少し残っている、遺品のかたずけをしないといけないし」
「なんだか知らない内に、皆が集まってあんちゃんの、形見分けしてくれなんて言いながら、あんちゃんのコレクションを皆持って行かれたけどね」
「あれでも、皆が気を使って高い品物は置いて行ったって言ってたけど 、そう言えば、ケンが亡くなった日の朝、潤子と私に何か渡したい物が在るって言ってたんだけど、何処に在るんだろう」
「じゃあ、カタズケと同時進行で探しますか」
「そうだね、何がでるやら判らないけどね」
と、少し寂しそうに、帰って行った。


三日後、大体の片付けが済んだ、
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