I become hope for you
第二章*二匹の鳥
色んな事実を聞かされた翌日─
「じゃあ、行ってくるね」
あたしはキャリーバック片手に
玄関先に立ってそう言った。
あたしに気づいた隣のおばちゃんに
おでかけかい?と聞かれたが
あたしは曖昧に微笑んで
肯定も否定もしなかった。
「これ、地図よ。迷わないように気をつけてね」
地図を受け取りながら
結子さんを見ると、
少し目が潤んでいた。
…やーばーい!!
「泣かないでよ、結子さん!!つられるじゃんっ」
「やだ、泣いてないわよ。ちょっと花粉で目が痒いだけよ」
「え…」
確かに今は春。
一瞬本気でショックを受けたけど
よく考えてみればそんなわけがない。
今まで結子さんには
そんな症状はなかったもん。
…あたしのために泣かないように
してくれてるんだろうな。
これくらいの自惚れはいいよね。(笑)