Virus
涼「堀北って名字なんですけど……」


祐「堀北…?堀北 拓郎(ホリキタ タクロウ)捜査官か!?」


涼「えっ?」


拓郎と言われても、俺には分からないが


瞳「はい!拓郎さんです!」


瞳は分かっていたようなのでそう答えた。


祐「そうか、あの人の……じゃあ…お前等みみの友達か?」


涼「あっ、はい……」


祐「みみは?」


涼「えっと……」


俺は言葉を切った。


瞳「みみは……さっき……化物に噛まれて……その…」


瞳が静かにそう言った。


最後まで言わなかったが伝わった。


祐「……そうか…。でも……その方が良かったかもしれないな……」


祐騎さんは眉をひそめたがそう言った。


涼「え?」


祐「あの人も……さっき化物の襲撃にあって死んだんだ…。俺は、その時、別行動取っていたんだが……無線で聞いた。そしてもし、みみに会ったら……『愛してるからな』って伝えてくれと頼まれた」


瞳「そう…なんですか……」


祐「あぁ。……俺の仲間もだいぶ殺られたからな…。まぁ、仕方がない事なんだけどな。この、状況じゃ……誰がいつ死んでもおかしくないからな…。お前等もよく生き残ってたな」


涼「俺等なんか……色んな人に守られてたから生き残ってたもんですよ」


瞳「ウチ等は武器もまともに扱えませんし……。さっきだって、祐騎さんが助けてくれたから生き残ってたもんですし……」


祐「まだガキなんだからそんな事当たり前だ。それにこんなもん……使えた所で何もねぇよ。生まれるのは…『憎しみ』と『悲しみ』だけだ」


キィィィ……


そう言うと祐騎さんはつけて車を止めて新しい煙草に火をつけた。
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