Virus
祐「顔色があんま良くねぇから」


カチャッと銃に弾を詰め込みながら祐騎さんが言った。


涼「!」


祐「まぁ、この状況だからな。顔色が悪くて当たり前かもしれないが……」


心を覗かれている気分だった。


祐騎さんは仕事が仕事だからな……


観察力が鋭いんだな……。


俺は、思っていた事を話した。


涼「…正直……辛くて………」


祐「それは、当たり前だろ。こんな、わけの分からない事に巻き込まれて辛くないわけ……」


涼「あっ、そういう意味じゃないんです……。いや、それが全くないって言ったら嘘になりますけど……。ただ……。まさか、生きた仲間を……それも、傷付いた仲間を置いていかなければならないなんて……。思いもしませんでしたから……」


俺は、つい拳を強く握った。


祐「………」


祐騎さんは黙ったまま銃の手入れをしながら、聞いていた。
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