Virus
祐「……あるよ。もう、何人も人を殺した」


涼「………」


俺は、つい嫌な顔をしてしまった。


すると「俺は……いや、俺等かな…。孤児だったんだ」と言った。


涼「えっ…?」


俺は、意味が分からなかった。


今の話となんの関係があるんだろ……。


だが、祐騎さんの次の言葉で分かった。


祐「だから、俺達みたいな孤児が働ける場所なんかなかった。そんな時……少しだけだが……今居る組織じゃなく違う組織で働かせて貰ってた。初めは良かった。だが……そこで人殺しをさせられたんだ」


涼「!!」


俺は、バッと顔を上げた。


祐「俺が17の時にはもう人を殺してた。そして、そこから逃げ出した。……その時に倒れて…今のS.Dに拾われた。だが……皮肉な事に…その時に武器の使い方とかを学んだお陰で…困る事もなかった…」


涼「……そう…だったんですか…」


俺は、嫌な顔をした事を後悔した。


そんな過去があったんだ……。


なのに……。


祐「あぁ……。だから、気にすんな。」


涼「!」


祐騎さんは、そう言うと、とても優しく……でも、悲しく笑った。


涼「…すいません。ありがとうございます…。あっ、所で……。その時、一緒に居た人は?」


祐「今、別行動を取ってる流架って奴だ。もうずっと一緒に居るから、家族と似たようなもんだな」


今日、何個目か分からない煙草を取り出しながら言った。


涼「そうなんですか。大丈夫ですかね……」


祐「あぁ、ペンタゴンで落ち合う事になってるんだが……。あいつは、平気だ。見た目はなよっちぃけど…なんせ、この俺と、ここまで生きてきたんだからな」


ふぅ、と煙草を吐きながら言った。
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