Virus
遊「いやっ、だって…!」

その“祐騎”って人がどれだけ綺麗かは分からないが流架さんの顔立ちは綺麗だった。それに、話し方や表情の優しさがあったので女だと思い込んでいた。


夕花が慌てて修正に入る。


夕「でっ…でも!凄く綺麗な顔だからそんなに落ち込む事はないと思いますよっ!」


おいおい…


男には、普通“カッコイイ”だろ…。


でも、御世辞にもカッコイイとは言いがたかった。


どっちかって言えば“可愛い”の方がしっくりくる。

流「いいよ いいよ。大丈夫。ありがとう。……いつもの事だし…」


まるで、自分に言い聞かせるように呟く流架さん。


遊「あっ、それで急かして悪いが、S.Dの特殊捜査官のアンタが何故こんな所に?」


俺は、本題に入る事にした。


流「あぁ、言ってなかったね。君達にだけ、言わせたらそれこそスパイみたいだしね。実は――――」


流架さんが、何故ここに居るか説明してくれた。


流「―――――というわけなんだよ」


遊「マジ…かよ。」


仮説通りか……。


出来れば外れていて欲しかった。


なんで、そんな馬鹿げたウィルスが…?


流「うん。それで、本当はさっき名前を出した祐騎って奴と一緒に任務を遂行する予定だったんだけど…。君達と同じで脆くなった所から地下に落ちちゃったんだ」

溜め息をつきながら言う。

遊「…んっ?そういや、上に居るアンタの仲間には、連絡はつけないのか?」


流「実は……ヘマしちゃってさ、通信機を落としてしまって調子が悪いんだ」


そう小型の通信機を取り出す流架さん。


流「まぁ、一応はペンタゴンで待ち合わせしてるから大丈夫なんだけど……。もう1回やってみよっかな…」


ピピッ…ガガッ


流「祐騎?聞こえる?」


通信機の調子はかなり悪そうで、なかなか使えそうになかった。


淳「ちょっと使えそうにありませんね…」


流「やっぱ駄目かな…」


諦めて通信機をしまおうとした瞬間。


「ピピッ…流架…ピー…か?ガガッ」


通信機から声が聞こえた。
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