Virus
祐「…って、事だから…。夜明けにここを出発する。明るい方が色々とやりやすいしな」


また、銃の手入れを始めながら祐騎さんはそう言った。


涼「分かりました」


祐「夜明けまで2時間ある。それまで、少しでも寝てろ」


涼「……でも」


俺が抗議すると「……まぁ、どっちにしろ、寝ないといけないだろうけどな」と言った。


涼「えっ?」


意味が分からなくて聞くと「んっ」と肩あたりを指差された。


涼「あ……」


全然気付かなかったが、瞳が俺の肩で寝ていた。


よほど疲れていたのだろう。


さっきの騒ぎの中でも、全く起きない。


結構、顔が近かった。


うっ…やべっ……


急に、心臓が暴れ始めた。

マジで可愛い……


そう思っていると…


祐「寝てるからって変な事するなよ」


と言われた。


涼「なっ!?」


俺は、驚いた。


こ……心、読まれた!?


確かにちょっと“キス”してみたいとか思ったけどっ…!


何、この人エスパー!?


プチパニックに陥っていると更に追い討ちをかけられた。


祐「あっ、流石に俺が居るのに変な事はしないか」


涼「ゆっ、祐騎さんっ!//」


俺は顔を真っ赤にさせながら言った。


すると「悪い 悪い。じゃあ、おやすみ」と、意味ありげに笑うと前を向いた。

俺は、唖然とした。


え……Sだ…。


この人絶対、Sだっ!


涼「本当止めて下さいよっ!……おやすみなさい」


そう思いながら言った。


祐「はいはい。おやすみ」

軽く返事をする祐騎さん。

俺は、まだ大暴れしている心臓を無理矢理、落ち着かせてから少しだけ瞳に寄り掛かって目を瞑った。


だが……この後、あんな事が起きるなんてその時、車内に居る誰もが思っていなかった。


それは、夜明けと共に少しずつ瞳達に忍び寄っていた……。
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