Virus
―遊志達 Side―


流「という事で……。ぼ……いやっ、俺はもう出発出来るけど…。皆は平気?」

流架さんが通信機をしまいながらそう聞いた。


遊「俺は、大丈夫だ」


むしろ、休んでる時間が勿体なかった。


淳「俺も、大丈夫です」


夕「夕花も、なんとか大丈夫」


裕「………」


皆が、大丈夫と言う中、裕大だけ何も言わなかった。

流「? 裕大くん?」


裕「えっ?……あぁ、ゴメン。聞いてなかった。で、何?何の話?」


笑顔を作りながら言う裕大。


…その笑顔が無理に作られているのくらい誰にでも分かった。


遊「……あのさ、大野。無理して、俺等に合わせなくたっていいんだぞ?だってお前……」


そう。


裕大は数時間前に、恋人を亡くしたばかりだ。


普通にしろって言うのが無理な話なのだ。


裕「……うん…。無理してないって言ったら…嘘になるよ…。でもさ…だからと言って…嘆いたり、悲しんだりしたって…みみが戻って来るわけじゃないだろ……?」


悲しい笑顔でそう言う裕大。


遊「それは、そうだが…」

裕「それに…折角ここまで、生き残れたのに…俺が前に進まないでどうすんだよ…。だから、今は、前に進む事だけを考えようと思う。もし、ここから生きて帰る事が出来たら……。そん時にちゃんと弔うよ」


今まで、失ってしまった仲間達に……。
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