Virus
くそ……!


どうしたらいいんだよ……!


頭では、分かっている。


もう、どうしようもない事くらい。


それでも、諦めきれない…。


ついさっき、大野にあんな事、言っといて自分はコレだ。


淳「兄さん……ゴメ…ン。俺、リタイアみたいだ…」

ヘラッと笑う淳志。


遊「馬鹿野郎……!俺は……!お前より背が小さかろうと………!お前より落ち着きがなかろうと…!お前の…兄貴なんだよ……!畜生……!なのに……なのに!何が兄貴だよ…!弟1人守る事が出来ねぇなんて……!」


夕「ダーリン……」


歯を食いしばり、地面に拳を強く叩きつける事しか出来なかった。


そんな俺に淳志は……


淳「そん…な事ないよ…。兄…さん……。兄さんは……いつ…だって俺を守ってくれたじゃないか……」


遊「……っ」


俺は、頷く事も出来なかった。


淳「それに……。兄さ…んは俺の中の……“光”だったよ……?」


遊「……えっ…?」


バッと前を向いた瞬間だった。


ドカァン!


「!!」


近くの、壁が崩れた。


流「くっ…こんな時ぐらい出て来るなよなっ!」


ガチャッと銃を構えた流架さんだったが……。


流「! 居ない!?」


そこには、何も居なかった。


流「何処に……」


裕「るーちゃん!上っ!」

流「!?」


流架さんの上にあったのは、白い先に鋭い爪のついた触手らしいものだった。


ビュン!


触手が目にも止まらないスピードで流架さんを襲った。


流「っ!」


咄嗟に避ける。


ドカァン!


裕「なっ…!あんな、ほっせぇ触手でこの破壊力かよ!」


さっき、壁が崩れた原因はこの触手だったようだ。


流「くっ……化物め!」


ドンッ ドンッ ドンッ!


銃で撃つが、触手だけ撃っても意味がなかった。
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