Virus
流「やっぱり、本体を攻撃しないと駄目か…!」


ギリッと歯ぎしりをした。


こんな時に…こんな化物の相手なんかしてる場合じゃないのにっ……!


俺は、ちらっと淳志くん達を見た。


くっ……


淳志くんはもって後、数分…


死んだら5分もしない内にゾンビになってしまう……!


早く地上に出なければならないけど……。その前に、皆に……特に遊志くんにはちゃんと別れを済ませてやりたい……!


戦場ででの、考え事がどれだけ危険なのかはよく知っていた。


だけど……


その時だけは、すっかり忘れてしまっていたんだ。


裕「危ないるーちゃん!」

流「!」


ハッと我に返った時には遅かった。


シュル!


流「うわ…!」


体に触手が巻き付いてきて、宙に持ち上げられた。


メキィ……


流「っ!」


くっそ…!


なんて力だっ……!


流「!しまっ…た!」


体全身を締め付けられ、力が抜けてしまい銃を落としてしまった。


裕「るーちゃん!」


走って来ようとした裕大くんを俺は止めた。


流「くっ…!来ちゃ…駄目…だっ!っ!」


ズシャッ!


流「っ!」


肩辺りに何かが突き刺さる感触がした。


奴の爪か…!


その時、さっき空けられた穴からあんこうのような大きな口の化物が見えた。


あいつが本体か…!


ググッと体を奴の方に持ってかれる。


食われる……!


夕「流架さん!!」


諦めかけた時だった。


ドンッ!


「ギャアアア!」


銃声と恐ろしい叫び声が聞こえてきた。


ドサッ!


流「…っ!ゲホッ!ゴホッ!」

勢いよく地面に落ちた俺は咳き込んだ。


助かった……?


一体誰が……。


その答えはすぐに分かった。


夕「! 大野くん!」


流「!!」


触手に銃を撃ったのは、裕大くんだった。
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