Virus
涼「おわっ!」


かなりのスピードだ。


いったい何キロ出してるんだっ!?


速度を見て俺は倒れそうになった。


涼「ひゃっ…!110キッ―――…」


祐「黙ってろ!舌噛むぞっ!」


祐騎さんが、そう叫んだ。

涼「はいっ!!」


素直に返事をした。


うっ……


かなり男らしい…。


……女の人だけど…。


とりあえず、俺には瞳をしっかり支えてやる事しか出来なかった。


それから、どれくらい経ったか分からなかったが車が止まった。


キィー!


祐「ふぅ……。なんとか、なったな。……おい、大丈夫か?」


俺も瞳も唖然とした。


瞳「な……何があったのか全然分かんなかった……」

涼「俺も……てか、死ぬかと思った……」


祐「なんだ、男のくせにだらしねぇな。仕方がないだろ?あいつら、結構早いんだから」


いやいや……


だからって“110キロ”は出しすぎだろ……。


ここは高速道路のように走りやすいわけじゃない。


普通の、市街地だ。


それで、このスピード出してぶつからない方が奇跡だ……。


祐「だが……安心すんのはまだ早いぞ」


シュポッ……


ライターで煙草に火をつけながら祐騎さんは言った。

涼「えっ?」


祐「今ので……車のガソリンが空に近い状況になったし、ここから、ペンタゴンまで結構ある。しかも……かなり“音”が出たから化物共も集まって来てるかもしれない……」


瞳「そうですよね……」


祐「とにかく……動かなくなった車程、邪魔なもんはない……。こっからは、歩いて行く―――」


また祐騎さんの言葉が遮られた。


ボコッ!!


瞳「きゃああ!」


祐「!?」


車の天井部分がへこんだ。

祐「くそっ!もう来やがったかっ!」


ガチャッ…


祐騎さんが、最初に会った時に使ってた大きな銃を取り出した。


これは……


グレネードランチャー!!

近くで見て、やっと分かった。
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