Virus
涼「瞳ー!!」


伊坂が、悲鳴ににも似た声で佐野を支えた。


佐野は左肩を見て、傷口を押さえながら唖然としている。


そして、私が余所見をしている内に状況はもっと悪くなった。


祐「! しまった……!」

目の前に、信号機がある。

祐「くっ……!」


私は、急いでブレーキを踏んだ。


キィィィィ!


ドンッ!!


車は、信号機への正面衝突は免れたがビルに側面衝突は免れなかった。


涼「うっ…」


いって……


いやっ、それよりもっ!


祐「大丈夫かっ!?」


涼「俺は……でも、瞳がっ!」


2人に怪我らしい怪我はなかったが、佐野はその前から怪我をしている。


「シャァァァ!」


祐「!」


声がした方を見るとさっきの、衝撃のお陰で化物はボンネットから落ちていた。


祐「先にあいつを殺ってくるっ!間違っても口で傷口の血を吸ったりするなよ!ウィルスが少しでも粘膜に付着すれば感染だっ!もししたら、私がお前を殺すからなっ!」


こいつなら、やりかねない…。


そう思ったからだ。


涼「っ…!祐騎さん…っ!」


祐「待ってろ!」


ガチャッ…


私は、グレネードランチャーを持って外に出た。


シャァァァ…!


祐「! なっ…!?」


私は、その化物を見て唖然とした。


今までの化物に比べ、かなり形が変わっていた。


体中から、触手のような白いものが出ている。


さっき、撃った所も完全に再生してた。


祐「化物めっ…!これでも、くらえっ!」


ガチャッ!


私は、銃を構えて化物に撃ってやった。


ドンッ!


ジュウウ!


「ギャアアア!!」


化物が暴れ回る。


祐「てめぇも、生き物ならちったぁ効くだろう!」


ドンッ!


もう1発撃ち込んだ。


「ギャアアア…!」


やっと動きが止まった。


祐「……貴様のような馬鹿げた化物は跡形もなき消えればいいんだ…」


私は、化物の死体にそう言い放って車に戻った。
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