Virus
祐「伊坂!佐野!」


車の中を覗き込んだ。


涼「祐騎さんっ……」


伊坂が心配そうにこっちを見た。


佐野はぐったりしてる。


祐「っ………。とにかく、外に出そう」


ガチャッ…


私は、佐野側のドアを開け、佐野を抱き抱えて外に連れ出した。


伊坂も一緒に出た。


瞳「うっ……」


急いで、上着を少し脱がせて傷口を見る。


これは……


祐「……傷口が、赤く変色してる……。ウィルスに……感染してる証拠だ…」


このウィルスに感染すると、わずかにだが、傷口の周りが赤く変色する。


佐野にその症状が見られた。


涼「そんなっ……!」


伊坂は、苦痛に顔を歪めながら佐野を抱きしめた。


瞳「涼……」


祐「………伊坂」


俺は促すように名前を呼んだ。


涼「……嫌です」


私の言葉の意味をくみとった伊坂がそう答える。


祐「伊坂!」


涼「嫌です!!」


伊坂は、訴えるように真っ直ぐ私の目を見た。


たく……


祐「………15分」


涼「えっ……?」


祐「15分までなら大丈夫だ……。だから、それまで……別れを済ませとけ」


私は根気負けした。


でも、伊坂はそれも出来なかったようだ。


涼「祐騎さんっ!俺は!瞳と一緒なら死んでも――……」


パンッ!!


私は、その言葉を聞いて伊坂の頬を平手打ちにした。
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