Virus
ドサッと倒れる伊坂。


涼「いって……」


そう言う伊坂の胸ぐらを私は掴んだ。


祐「一緒なら死んでもいい……だと?ふざけるなっ!」


涼「なっ……」


祐「佐野が死ぬから生きられないってか?」


涼「だって……俺、守るって決めたのに――……」


その言葉が、更に私を苛立たせた。


祐「守れなかったから一緒に死ぬ?甘ったれるなよクソガキ!てめぇの、友達だって大切な奴を失ってもここまで生きて来たんだろうが!!この状況で……大切な奴が居なくなったのはてめぇだけじゃねぇんだぞ!?」


ぐっと伊坂が目をそらす。

祐「今、お前が思ってるのは『守れなかったから死ぬ』じゃない。佐野が死んだ後に『耐えられないから死ぬ』っていう心の弱さだろうがっ!!」


涼「そ……れは……」


顔をそらす伊坂の胸ぐらをぐっと近付けた。


祐「結局逃げてるだけだろ!?ここまで、生き残れたのにそんな事言うな!今、どれだけ生きたかった奴が居ると思ってる!?命を嘗めるな!」


私は……


沢山の人間の命を奪ってきた。


だからこそ分かる……


“命”の尊さが……。


すると……


瞳「もう止めて下さい祐騎さんっ!」


ガシッと後ろから佐野が私の腕を掴んだ。


もう立つのも辛いだろうに……。


涼「瞳っ…!」


伊坂が瞳を抱き抱える。


私はため息をつきながらもう1つ分かった事を話した。


祐「それに……お前が死んで……佐野が喜ぶとでも思うのか……?」


涼「!!」


祐「少しは……佐野の気持ちも考えてやれ……」


私は、それだけ言って後ろを向いた。


多分……これが1番言いたかった事だと思った。
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