Virus
俺は、急いで瞳を支えた。

涼「瞳っ…!」


俺は瞳の名前を呼んだ。


頭の中で整理がついたわけではない。


瞳「涼……」


涼「何……?」


瞳「ウチね……さっきの言葉…嬉しいって思った。でも……同時に悲しかった…」


涼「!!」


瞳「だって……ウチがヘマしてこうなったのに……涼まで死ぬなんて絶対嫌だもん…」


瞳がそう静かに言った。


静かに言われて……頭の芯の部分が冷えた感覚になった。


“逃げてるだけだろ”


祐騎さんの言葉が頭を過った。


そうだ……俺……


瞳が刺された時に頭が真っ白になっちゃって……


生きんのを止めようとしてた……


富恵も、大野も……


皆辛くても生きようとしてたのに……


俺……逃げようとしてた……?


俺は、自分の愚かさを恨んだ。


涼「っ……ゴメン…」


瞳「…ううん…。でも、ありがとう……」


瞳が微笑んだ。


その笑顔を見て俺は思いっきり抱きしめてやった。
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