Virus
瞳「ひ…酷いじゃないですか!」


私の傷口を見た佐野がそう言った。


祐「別にこんなの大した事ねぇよ」


瞳「何が大した事ないですか!貫通してるんですよ!?」


まぁ、確かにそうだが……。


そこまで、心配される程の事ではないと思う。


祐「あのな……こんな傷…この仕事してたらしょっちゅうだぞ?」


瞳「だからって、ほっといたらダメですよ!それに、あいつの血がかかってましたよねっ!?もしかしたら、傷口に血液が付着してるかもしれないじゃないですか!感染してたらどうすんですか!!早く治療しないと!」


佐野は「救急セット借ります!」と言うと私の傷口を消毒し始めた。


必死に消毒してる姿はかなり健気だ。


祐「ふっ……」


私はつい笑ってしまった。

瞳「何笑ってるんですか?」


祐「あぁ、悪い。別にお前の事を笑ったんじゃないんだ。ただ……お前が心配する必要はないって事さ」


瞳「?」


佐野は私が言ってる言葉の意味が分からなそうだった。


祐「なんせ……私には、このウィルスの抗体があるんだからな」


そう言うと私は傷口を手で押さえた。


瞳「えっ…?」


佐野は驚いていた。
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