Virus
み「ちょっと…した……?」


J「そう。君はもう感染してたでしょ?……このウィルスに」


ポケットから緑色の液体が入った試験管のような透明な容器を取り出した。


み「そ…れは…?」


J「通称“キメラウィルス”。あらゆる細胞をも活性化し、その宿主の体を強化させ凶暴化させる特性を持ってる。……ただ、扱いがなかなか大変でね……。少しでも体内に入ればウィルスの力の方が強くて体の中でウィルスによる破壊とウィルスによる再生が繰り返されて大体の宿主は死に至る。そして、死んだ人間はウィルスにより復活してゾンビになる……。まぁ、あいつらは生命力が強いだけの失敗作って事だね」


み「アン…タ……」


怪訝そうにみみはJを睨みつけるがJは薄ら笑いのままだ。


J「あぁ、でもね……。人間の中にもそのウィルスに対する耐性を持ってる人間が極希に居るんだ。ウィルスは体に入れれば入れる程、強靭かつ凶暴性が上がり強くなる。だからその人間はウィルスを投与し続ければ…この子達みたいに強くなれるってわけ」


コンコンと水槽を叩く。


み「ま…さか!?」


みみが目を大きくさせてJを見る。


Jはそのみみの様子を見て楽しそうに笑う。


J「そう…。この子達も元は“人間”だよ。ただ、動物ベースの方が強いけどね」


み「なん…て事を…!」


J「クス……。でも、君達が今まで相手にして来た子達はクズだよ。なんせ…知能が殆どないからね。あるのは猟奇的な殺人衝動ぐらいさ。どんなに強い生物兵器を作ったって…こっちまで殺してしまうようじゃあ意味がない」


確かにそうだ。


例えどんなに強い化物を作っても作った側まで殺してしまったら自滅だ。


J「だから今までの子は大変だったよ。でも、これから作った子は別。あぁ、それから君にも耐性…つまり“キメラ”になれる素質があったんだよ」


ニヤァと笑いながらJはみみの目の前まで来た。

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