Virus
淳「由李が……言ってたんだ……俺に出会えて…良かったって…!だから…幸せになって…欲しい…ありがとうって…!」


嗚咽を溢しながら淳志は遊志のブレザーを掴んだ。


遊「うん…そうだと思った……。…淳志、知ってたか?死んだ奴ってのは…その時、泣いて貰った涙の数だけ幸せになれるんだってさ……だから…きっと由李はあっちで幸せになれるよ」

淳「兄さん……ッ…!」


淳志は遊志のブレザーをがっちり掴んだ。


普段、遊志は非科学的な事を滅多に口にしなかった。

そんな遊志の口から、そんな言葉が出て、淳志は遊志の優しさを痛感していた。


それから葬儀が終わった数日後。


淳志は何日か学校を休んでから、登校した。


と言っても、教室には行かず職員室に居た。


でも、その表情にはあまり生気がない。


先「宇佐美…。中川の事はその…残念だった……。すぐにとは言わん…だけどいつか立ち直って…またいつもの笑顔を取り戻して欲しい…。中川も…きっとそう願っているから…」


先生がそう言った。


淳「…はい……」


淳志は心に穴がぽっかり空いたままだったが返事をした。
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