Virus
ゼ「うん…。かろうじてだけど…。だから、行くわけにはいかない」


瞳「どうして…どうしてJなんかの…」


瞳には分からなかった。


ゼロがそこまでしてJの側に居ようとするのかが。


ゼ「あの人だって…優しい時があったんだよ…。あんな風じゃない時だって…あったんだよ…」


ゼロは静かにそう言った。

瞳「J…が?」


ゼ「人なんて…いつ変わるかなんて分からないんだよ。それに…俺はあの人の血を受け継いでるんだ…」


瞳「えっ!?Jと…ゼロが…?」


驚いた。


Jとゼロは親子だったのだ。


ゼ「うん…。と、言っても…少し違うかもしれないけど…」


瞳「えっ?」


瞳が聞き返したがそれ以上その事について口を開かなかった。


ゼ「だから…行けない。ゴメンね…?」


ゼロは悲しく笑った。


その笑顔とあの時の笑顔が重なった。


瞳「そんなっ…」


瞳はまた泣いてしまった。

そんな瞳を見てゼロは「全く…。泣き虫なのは変わっていないね…瞳」と頭を撫でた。


その時ピー!と言う機械音が聞こえた。


ゼ「どうやら…うまく解除してくれたみたいだね…。駄目だったら…俺が壊そうと思ったけど…大丈夫そうだ」


そう言って立ち上がった。

そして、涼の方を見た。


ゼ「02……いや、伊坂 涼。瞳を…頼んだよ」


ゼロがそう言った。


涼「!」


瞳「ゼ…ロ…」


そのすぐ後に、今までの連絡とは違う事を伝える無機質なアナウンスが流れた。

《Five minutes until explosion》


ゼ「爆発まで5分きった……」


ゼロは静かに言う。


瞳「えっ!?」


その瞬間、左の扉が開いた。


祐「なんとか解除した!爆発まで5分きったから、急いで―…!」


2人はゼロの姿を見た瞬間銃を構えた。
< 389 / 426 >

この作品をシェア

pagetop