Virus
祐騎を掴んだのは涼だった。


祐「伊坂!?バカ!離せ!」

祐騎は怒鳴った。


涼「嫌です!俺には、命をなめるなって言っといて…自分は命を捨てるつもりですか!?」


涼は負けじと言い返した。

祐「バカ言うな!私はお前より長く生きてる!」


涼「対して変わらないですよ!」


祐「っ…。私はもう…駄目だ。体が限界だ…!このままだと、どうせ死ぬ…。ヘリをあいつにくれてやるくらいなら…自分自身をくれてやる方がよっぽどマシだ…!ゲホッ!」


祐騎は血を吐き出した。


確かに祐騎の体は限界だ。


涼「っ…。だったら…!」

涼は少し考えてから足で梯子を挟み左手で祐騎を持ったまま右手を上げて目を瞑った。


祐「伊坂…?バカ!やめろ!そんな事したら…!」


祐騎が止める。


ヘリが来る前に涼に話した事があった。


―数分前―


ヘリが来る少し前。


祐「伊坂。1つ言っとく…」


祐騎は通信機を持ったまま言った。


祐「いいか…。私たちはもうウィルスについて本部に報告した…。さっき資料も送ってやった…。だから、これからそのウィルスを完全に死滅させるようにするだろう…。絶対にお前が感染してる事を悟られないようにしろ…でなけりゃ、お前の命が危ない…。分かったな?」


ウィルスに感染している事を知れば、きっと生かしてはおかないだろう。


涼「…分かりました」


涼はその時、確かに頷いた。

――――――――


涼は分かっていた。


ここには隊員が居て、今、この状況を見ている。


それでも……


「なんだ?あの子、何する気だ?」


流「まさか…!?」


涼は目を開けた。


涼「っ…!」


右手が少し変形する。


「なっ!?」


隊員が驚く。


爪が猛禽類のように鋭くなった。


その瞬間、涼は触手を右手を振り落とした。


涼「うらぁぁ!」


ザシュッ!


触手が断ち切れた。
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