Virus
真「あの涼という子はウィルス投与されたのだろう?」


祐「…はい。そうです。でも、あいつは…」


真「分かってる。瞳という子はあの生き物を凶暴にさせるウィルスを抑制し、死滅させる抗体、涼はウィルスに対する耐性がつく抗体…相反する存在だ。だが…あの2人なら大丈夫だろう」


真田は微笑んだ。


祐「そう…ですね」


祐騎は安心したかのように言った。


真「しかし、これからやらねばならない事は山積みだぞ。我々は半数くらいまで数が減ってしまったのに、化物は増える一向だ」


祐「それでも…やらないとでしょう。私達、大人が動かないで誰があいつらのようなガキを守るんです?」

祐騎は笑いながら言った。

真「おやおや…聞き覚えのある言葉を言うね」


真田も笑った。


祐騎がよく口にする『私達、大人がしないで誰がガキを守れる』というセリフは、6年前、真田が祐騎や流架を拾った時に言った言葉だ。


真「今、こちらには抗体がある。数は少なくなったがあのサバイバル状態の中でも生き残れた…ある意味『選りすぐり』の隊員だからね。なんとかなるだろう。Jが死んだ今、これ以上馬鹿げた化物は増えんだろう」


祐「…J…か……」


祐騎はボソッと言った。
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