群青色の空に
三、
波津家への特注書に
サラサラと字を走らせてゆく。
夕焼けに染まりゆく部屋の中は
静かだった。
仕事がひと段落終り、特注所を幸に手渡す。
「瑠璃様、あの」
幸が物言いたげに瑠璃の顔を見つめる。
「何だ」
「私に、傍人をお任せさせて頂けないでしょうか」
傍人を?
わざわざそのような面倒なことを
やりたいというのか。
「もう既に、傍人のようなものではないか」
今でも十分に私の傍にいると思うが。
「しかし・・御起床の時も御就寝の時も
千代さんがお付きになってらっしゃいますし
お髪も私には梳かせて下さりません。」