群青色の空に


「そなたがやったのか?」



「・・・・・・。」




世哉は何も答えない。



それは肯定を意味しているのか。





「私の部屋に無断で入り、そして私の私物を壊したと。」


少しの沈黙ののち世哉は答えた。


「・・ええ。」






その言葉に瑠璃は自分の内が熱くなるのを感じた。




大切にしていた櫛。

母上から頂いた、大切な大切な宝物。



それは壊れてしまった。

他人の手によって。







「特席といえども私の部屋に入る権利はない。ましてや・・・私の私物を壊すなど。」




世哉は何も言わずに虚ろな目で瑠璃を見つめていた。




「出ていけ」




その言葉に世哉は何の物音もさせずに部屋を出て行った。


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