群青色の空に
改めて瑠璃は手の中の髪櫛を見た。
直しようのないほど綺麗に割れてしまっている。
「瑠璃様・・どうにか直してみましょう。」
瑠璃はいや、と首を振った。
「物はいつかは壊れてしまうものだ。もうよい。」
「しかし、それは夙様から頂いた物でしょう?
昔からとても大切にしてらっしゃっったではありませんか。」
母上が私が十になるときに下さった宝物。
「私がなんとか直してみますから。」
千代が必死に説得してくる。
しかし、瑠璃は髪櫛を渡さなかった。
「新しい物を使えば良い。髪櫛なら
波津に特注すればいくらでも作れるだろう。」
「そうですか・・わかりました、
では新しいものを作らせます。」
千代は渋々頷き、部屋を出て行った。