群青色の空に
けれど・・・
盗んだ者はこの屋敷の誰かなのは確かだ。
それは一体誰?
何のために?
「瑠璃様、宜しいでしょうか」
部屋のふすまが開いた。
「幸、何の用だ?」
「朝食を、と思いまして・・」
「今髪を梳かしている、すぐに行くから待っていろ」
え、と呟くと幸は千代を驚いたように見つめた。
「何か?」
千代は手を止めると幸に尋ねた。
「い、いや・・千代さんがいらしたのかと思いまして。」
「いつもいますよ?」
千代顔をしかめると、静かに答えた。
「そうでしたね・・うっかりしていました。では、大部屋で待っています。」
そう言うと幸はすぐに部屋を出て行った。
千代は再び髪を梳かし始めると、小さくため息をついた。