群青色の空に

けれど・・・


盗んだ者はこの屋敷の誰かなのは確かだ。


それは一体誰?


何のために?




「瑠璃様、宜しいでしょうか」




部屋のふすまが開いた。



「幸、何の用だ?」

「朝食を、と思いまして・・」


「今髪を梳かしている、すぐに行くから待っていろ」



え、と呟くと幸は千代を驚いたように見つめた。


「何か?」


千代は手を止めると幸に尋ねた。


「い、いや・・千代さんがいらしたのかと思いまして。」

「いつもいますよ?」


千代顔をしかめると、静かに答えた。


「そうでしたね・・うっかりしていました。では、大部屋で待っています。」


そう言うと幸はすぐに部屋を出て行った。



千代は再び髪を梳かし始めると、小さくため息をついた。

< 40 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop