群青色の空に

変わった者だ。

いや、ただ礼儀を知らないだけか?




「瑠璃様はもう少し、ご自分のお気持ちを話されたらどうですか」


にこやかに琥珀は言葉を口にした。

全く悪びれる様子も、恐れる様子もなく。


「は?」


思わず、間の抜けた声を出してしまう。


「私に向かっての言葉か?」


「え・・そのつもりですが」


逆に驚いたように琥珀は答える。


「つい昨日、仕え人になった者が私に物申すとは」


呆れたように瑠璃は言った。


「昨日入ったばかりですが、それでも分かりました。瑠璃様はご自分のお気持ちを伝えずに、我慢してらっしゃるでしょう。」


「礼儀を知らないのか?そなたは、仕える身ということを理解しているのか」


「礼儀というものは、自分の考えを押し殺すことではないと思いますが」


琥珀は瑠璃の目をじっと見つめる。
< 42 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop