群青色の空に
「世哉さんが連れ戻して下さると
仰られていましたから、
私お任せしておりましたのに」
いかにも不満だというように幸は呟いた。
「世哉には放っておいてくれと
私が命じたゆえ、仕方あるまい。」
「いくら瑠璃様のご命令といえど
私ならすぐにお連れしましたのに」
次々と言葉の出てくる幸の表情は
コロコロと変わり、見ていて可笑しかった。
「ど、どうなされたのですか?」
クスリ、と笑った瑠璃に幸は驚いた様子だった。
「いや・・」
「あ・・申し訳ございません!
私、瑠璃様の前ではしたないことを!」
おどおどとする幸に笑いが止まらない。
滅多に笑わない瑠璃が笑ったことに
喜んでいいのか、分からずに
幸はただ、おろおろと立ち尽くすしかできなかった。