feather ~海の彼方~


「では、お嬢様?」


カイさんは、固まっている私を促すように、ピアノの椅子を引いた。

それに導かれるように、椅子に座った。



「弾ける曲は?」

「大体は弾けるけど……」

「う~ん。どれがいいかな」


カイさんは、本棚を指でたどっている。

多分あの本棚には、楽譜が入っているのだろう。


「…やっぱりショパン?でも、リストも捨てがたいし…。ラフマニノフでも……」


なにやら、作曲家選びで迷っているらしいカイさん。

随分と大きい独り言を言っている。



< 61 / 208 >

この作品をシェア

pagetop