feather ~海の彼方~
「では、お嬢様?」
カイさんは、固まっている私を促すように、ピアノの椅子を引いた。
それに導かれるように、椅子に座った。
「弾ける曲は?」
「大体は弾けるけど……」
「う~ん。どれがいいかな」
カイさんは、本棚を指でたどっている。
多分あの本棚には、楽譜が入っているのだろう。
「…やっぱりショパン?でも、リストも捨てがたいし…。ラフマニノフでも……」
なにやら、作曲家選びで迷っているらしいカイさん。
随分と大きい独り言を言っている。