満天の星空に

「なぁに〜?」


あたしは恐く言ったはずなのに、超満足そうな笑顔な悠。…に、よけいにイライラするあたし。


「なんっでいっつも邪魔ばっかすんの!?いいじゃんカラオケくらい!」


そう言いながら、“あたしは怒ってるの!”とわかるように、悠をギロッと睨んだ。

だけど、そんなことは気にもしない悠。


「ってゆーか、季里のお母さんに頼まれてんだよね」


「は?」


「“どんなに遅くても、8時には帰らせてね”って。」


はっ……

そういえばあたしもお母さんに、“8時までには帰ってきてね”って言われてるわ……。


今は7時30分。


「カラオケ行って30分で季里が帰ってくるわけないもんね?」


「う……」


もっともなことを言われてあたしは反撃できなくなる。


「ねっ?だからかーえーろ?」


首をちょっと傾けて、おねだりポーズをしてる悠。



このやろう……


「悠かわいー♪帰ってあげなよ季里ぃ♪」


「理穂ぉ……」


「じゃっ!あたしは彼氏と帰るから〜♪」


「また明日♪」なんて言って去っていく理穂の先には、長身の彼氏。


いいなぁ〜……

彼氏、ほしーなぁー……


つい、そんなことを思ってしまった。



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